廃棄物の不適正処理対策(産廃110番)

大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について

 大同特殊鋼株式会社渋川工場の製鋼過程で副産物として排出された鉄鋼スラグが建設資材として使用されたことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づき調査を行ってきたところ、その結果は次のとおりです。

1 調査経過

(1)

立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)
  ・平成26年1月27日  大同特殊鋼(株)渋川工場
・平成26年1月31日  大同エコメット(株)渋川事業所
・平成26年2月27日  (株)佐藤建設工業

(2)

報告の徴収(廃棄物処理法第18条第1項)
  ・平成26年4月18日  大同特殊鋼(株)、大同エコメット(株)、(株)佐藤建設工業
・平成26年7月 7日  大同特殊鋼(株)、大同エコメット(株)
・平成26年7月25日  大同特殊鋼(株)
・平成27年8月 4日  大同特殊鋼(株)
 

2 調査結果

(1)

大同特殊鋼(株)渋川工場は、工場が操業を開始した昭和12年頃から、副産物である鉄鋼スラグを土地造成材等として再利用してきたとみられるが、当時の関係資料が存在せず解明は困難である。
なお、廃棄物処理法の施行は、昭和46年9月である。

(2)

平成13年にふっ素の土壌環境基準が設定され、平成15年にふっ素の溶出量及び含有量に係る指定基準を設定した土壌汚染対策法が施行された。
これにより、路盤材など土壌と接する方法で鉄鋼スラグを使用する場合、周辺土壌や地下水を汚染しないよう、土壌環境基準等と同等の基準を満たすことが求められ、鉄鋼業界では、ふっ化物(蛍石)を使用しない操業への移行や、鉄鋼スラグに含まれる有害物質の検査を行い、環境安全性を確認して路盤材等に再生利用する方法がとられてきた。
しかし、大同特殊鋼(株)渋川工場は、その後もふっ化物(蛍石)の添加を止めることなく、また、鉄鋼スラグの大半がふっ素の土壌環境基準等を超過していることを承知したうえで出荷を続け、当該スラグが使用された施工箇所の一部で基準を超える土壌汚染を生じさせた。

(3)

平成14年4月から平成21年6月までの間、大同特殊鋼(株)は、大同原料サービス(株)(平成18年に大同エコメット(株)に社名を変更)とスラグの委託加工、売買に関する契約を締結した。
この契約は、大同特殊鋼(株)が大同エコメット(株)に地金回収後の鉄鋼スラグを製品原料として1トン当たり10円で売却し、大同エコメット(株)が体積安定化処理(エージング)を行った後に販売するというものであったが、大同特殊鋼(株)から大同エコメット(株)にエージング処理費等の名目で鉄鋼スラグ購入代金を上回る金員が支払われており、いわゆる逆有償取引であった。(別紙図1参照)

(4)

平成21年7月から平成24年6月までの間、大同特殊鋼(株)は、大同エコメット(株)及び(株)佐藤建設工業との3者でスラグ混合再生路盤材の製造・販売等に関する契約を締結した。
この契約は、大同特殊鋼(株)から大同エコメット(株)に地金回収後の鉄鋼スラグを製品原料として1トン当たり10円で売却し、大同エコメット(株)がエージング処理を行った後、(株)佐藤建設工業に1トン当たり100円で売却するというものであったが、一方で、大同特殊鋼(株)から大同エコメット(株)に対してエージング処理費等の名目で鉄鋼スラグ購入代金を上回る金員が支払われ、大同特殊鋼(株)から(株)佐藤建設工業に対して販売管理料等の名目で、(株)佐藤建設工業が大同エコメット(株)に支払った鉄鋼スラグの購入代金を上回る金員が支払われており、いわゆる逆有償取引であった。(別紙図2参照)

(5)

平成24年7月以降、大同特殊鋼(株)は、大同エコメット(株)とスラグ処理業務及びスラグ混合路盤材等製造に関する委託契約を、(株)佐藤建設工業とスラグ混合路盤材の販売に関する契約を、それぞれ締結した。
これらの契約は、大同特殊鋼(株)から大同エコメット(株)に対してエージング処理や天然砕石との混合を委託し、(株)佐藤建設工業に対してスラグ混合路盤材を販売するというものであって、契約形態を変えただけで、平成21年7月から平成24年6月までの間と一連の行為の内容は同じであった。(別紙図3参照)

(6)

平成26年1月28日以降、これらの契約に基づくスラグ混合路盤材の製造及び販売は行われていない。

(7)

ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。

(8)

スラグ再生路盤材等を購入した建設業者は、当該スラグの性状等を知らされておらず、有責性は認められない。

(9)

記録が確認できた平成14年11月から出荷を停止した平成26年1月までの間、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷された鉄鋼スラグの総量は、29万4,330トンである。
 

3 鉄鋼スラグの使用箇所の解明及び環境への影響調査

(1)

これまで大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグの使用が確認された工事は、別表のとおり公共工事で225箇所である。

(2)

環境影響については、工事実施主体が、使用したスラグ再生路盤材の品質規格証明書によって、同証明書がない場合については施工現場におけるスラグ再生路盤材や土壌の検査によって確認し、土壌汚染が確認された場合には、県が直接周辺地下水の調査を実施し、確認をしてきている。これまでの調査の結果では、地下水への影響は認められない。

(3)

今後とも鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進める。公共工事については工事実施主体に調査を要請、民間工事については大同特殊鋼(株)に対し、調査及び県への報告を指示する。
新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。

(4)

判明した使用箇所はすべて県がリスト化し、今後も継続して、地下水の常時監視の中で、環境への影響について監視を行っていく。


別表 【大同特殊綱(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグの使用箇所】

  所在市町村 使用箇所数 土壌環境基準等の超過箇所数
スラグ 土壌 周辺地下水
国土交通省
関東地方整備局
前橋市 27 14
長野原町 22
渋川市
東吾妻町
吉岡町
みなかみ町
太田市
沼田市
嬬恋村
小 計 65 27
独立行政法人
水資源機構
前橋市   14
渋川市  
榛東村  
 小 計 16
群馬県 渋川市   25
吉岡町   11
東吾妻町
みなかみ町
中之条町
榛東村
長野原町
昭和村  
 小 計 58
渋川市 渋川市 72 49 41
前橋市 前橋市 14
  225 93 54

(注)本表は、現時点までの工事実施主体ごとの公表資料を整理したものである。


別紙 大同特殊鋼(株)、大同エコメット(株)、(株)佐藤建設工業の間の契約関係




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